通則

  • 組合加入資格と独占禁止法の関係について
    Q1

    私どもの組合は、一般機械器具製造業者で組織する事業協同組合ですが最近、当組合の地区内に本社を置く資本金3億5千万円、従業員350人の中堅機械メーカーA社が、当組合に加入の申し込みを行ってきました。
    当組合としては、組織強化のためA社を受け入れたいのですが、このように法律上の中小企業者の範囲を超える事業者であっても、組合に加入できるのでしょうか。

    A1

    この問題は (1) 事業協同組合の組合員資格 と、 (2) 独禁法との関係、
    の2つの問題に分けて考える必要があります。
    (1)まず、事業協同組合(以下、「組合」という。)の組合員資格は、中小企業等協同組合法(以下、「組合法」という。)第8条で「小規模の事業者」であることが定められており、いわゆる大企業は組合には加入できないことになっています。これは、組合が中小企業者のための組織制度として設けられているからにほかなりません。
    この小規模事業者の基準は、組合法第7条第1項第1号に定められて おり、製造業の場合は、資本金が3億円以下であるか、常時使用する従業員数が300人以下であることがその要件となっています。したがって、A社の場合はこの基準を超える事業者ということになりますが、ただ、小規模事業者であるか否かの判断は、この基準のみによって行われるものではなく、これを超える事業者であっても、その事業者の競争力、市場支配力、地域経済の実情等、諸般の実態を検討したうえで実質的にみて小規模の事業者と認められる場合は組合員となる資格を有することになります。そして、この実質的小規模事業者であるか否かの判断は、加入の申し込みがあった際に組合自身が行うことになります。
    (2)貴組合の判断によってA社が実質的小規模事業者と認定され、組合への加入が認められたとしますと、次に独占禁止法(以下、「独禁法」という。)との関係がでてきます。
    まず組合は、小規模事業者の基準を超える事業者が組合に加入してい る場合には、その事実が発生した日から30日以内に公正取引委員会に届け出ることが義務づけられています。
    独禁法は第24条によって、事業協同組合等については小規模事業者 の団体として、同法を適用しないこととしています。つまり、組合はその小規模事業者団体性をもって独禁法の適用除外団体とされているところから、小規模事業者の基準を超える事業者が組合に加入しているときは、公正取引委員会はその事業者が実質的にみて小規模事業者でないと認めた場合には、独禁法の適用除外が解除され、その組合に同法が適用されることになります。先に述べた公正取引委員会への届出は、同委員会がこの認定を行うについてその事実を知るために義務づけられているものです。ただし、公正取引委員会のこの認定は、届出がなされた時に行われるのではなく、組合の共同行為に問題が生じたときに行われているようです。なお、認定により独禁法の適用を受けても組合は存続します。
    また、公正取引委員会は、この認定権の行使のほかに、組合法第107条により、常時使用する従業員数が100人を超える事業者が実質的に小規模事業者でないと認めるときは、その者を組合から脱退させることができることになっています(排除権)。
    この認定権と排除権の関係については、公正取引委員会は、認定権を行使して組合そのものに独禁法を適用するか、あるいはこの排除権を行使して大企業を排除するか、いずれか一方の措置を選択することができるものと解されています。

  • 小規模事業者の判断について
    Q2

    今般、設立途上の事業協同組合の設立同意書の中に、中協法第7条に規定する小規模事業者の範囲を超えた事業者が含まれているが、どのように対処したらよいか?

    A2

    中協法に基づく事業協同組合の組合員となることのできる者は、小規模の事業者であるが、その規模の基準は、中協法第7条に規定されているように、資本の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業者については1億円)を超えない法人たる事業者、又は常時使用する従業員の数が300人(小売業を主たる事業とする事業者については50人、サービス業又は卸売業を主たる事業とする事業者については100人)を超えない事業者となっている。
    しかしながら、この基準を超える事業者であっても、実質的に小規模事業者であると認められれば組合員になれることになっている。したがって、設立途上の設立同意者については、その事業者の従業員数、資本の額又は出資の総額並びに資本力及び市場支配力等諸般の実情を勘案して発起人が小規模事業者と判断した場合には、いったん組合員たる地位を与え、組合成立後に公正取引委員会に届け出ることとなる。この場合に公正取引委員会から実質的に小規模事業者でないと最終的に認定されるまでは、その組合員又は組合に対して特別の措置がとられることはないのである。

  • 支店の組合員資格について
    Q3

    小売業を営む者で組合の地区内に支店があって、当該支店は従業員50人以下である。地区外の本店は従業員50人以上で、しかも資本金が1,000万円を超えている場合、この支店は組合員資格に疑義があるか?疑義があるとすれば公正取引委員会に届け出る必要があるか?また、その場合の手続方法は?

    A3

    組合員資格に関する使用従業員数の数は、本支店合わせたものとされているから、ご質問の場合明らかに50人を超え、しかも資本金が1,000万円を超えているので、公取委への届出が必要である。
    ただし、組合員たる資格は従業員数、資本の額又は出資の総額が絶対的要件でなくその事業者の資本力、市場支配力、組合の内容等諸般の実情を勘案して判断すべきである。なお、当面その判定は組合自体が行うことになる。
    なお、公取委への届出の様式及び内容については、「中小企業等協同組合法第7条第3項の規定による届出に関する規則」(昭和39年2月7日公正取引委員会規則第1号)に具体的に定められている。

  • 社団法人会員であることを組合員資格要件とすることについて
    Q4

    (財)不動産流通近代化センターの発足により、全国的に不動産業者の組織化が図られているが、(社)宅地建物取引業協会○○支部で、○○地区不動産協同組合の設立諸準備を進めているところであるが、定款の組合員資格に「社団法人○○宅地建物取引業協会の会員であること」と規定することはさしつかえないか?

    A4

    社団法人との協調の内容、組合の設立趣旨・事業内容等が判然としないので判断しかねる点はあるが、一般的には、次のような理由からご照会の事項は適当でないものと考える。 (1)  組合員の加入資格は、経済的条件に限るべきであるが、本件では、経 済的にどのような必要性があるかあいまいである。 (2)  この場合、社団法人会員であることをもって、企業規模等の一定水準 にある者を確保するという趣旨も考えられるが、これは、同水準にある非会員企業の加入を制限することとなる。  なお、企業規模等による区別は、組合の趣旨から、特別の理由がある場合を除き、適当でないところである。 (3)  また、社団法人会員であることをもって、協調性・事業近代化への積 極性等を判断する材料とする意図も考えられるが、かかる抽象的な事項を組合員資格として定款に規定することは適当でないところである。 (4) 組合が他の団体の意向等に左右されるため、組合の独立性・自主性が 失われるおそれがある。すなわち、加入脱退、事業実施等が他の団体の意向に左右され、組織、事業運営両面が不安定となり、意見決定等における自主性がそこなわれるおそれがある。

  • 設立過程の商工組合の地区と支店の組合員資格について
    Q5

    Q1  設立しようとする商工組合の地区内において、地区外に本社を有する会社の支店がある場合に、この会社は組合員資格を有するかどうか?この場合、組合員資格について中協法の解説では、支店が地区内において資格事業を行っていれば、本社が地区外にあってもその法人全体の名において加入できることになっているが、中協法における「事業を行う」と中団法における「事業を営む」との関係についての解釈をもあわせてご教示下さい。 Q2  例えば法人全体の名において加入できると仮定した場合、申請書に記載する法人の所在地は地区外にある本社の所在地とすべきかどうか?

    A5

    A1  組合が定めた地区内で、組合員たる資格に係る事業を営む拠点を有している事業者は、組合員資格を有し、この場合事業を営む拠点は主たると従たるとを問わない。  従って、ご質問のように本社は地区外にあるが支店は地区内にあり、 かつそこで資格事業を営んでいる場合は組合加入資格を有するものである。  この場合、支店は独立の法人格を有する事業主体ではないから、法人 全体の名において加入することとなる。  なお、事業を営む者とは、営利を目的として事業を継続反復して行う者をいい、事業を行う者は必ずしも営利を目的とすることを必要としないので、事業を行う者より狭い概念である。 A2  上記の如く、支店は法人の機関であって独立の法人格を有する事業主 体ではないから申請書に記載する法人の所在地は、主たる事務所の所在地(民法50条)たる本社の所在地を記載することとなる。  なお、このように法人全体の名で加入し、その所在地を本社の所在地 とする場合にも、商工組合が調整事業を行う場合は「一定の地域」における事業活動を制限することによって不況事態の克服等を図ろうとするものであるからその地区で行う事業活動の制限は、その法人の地区外の事業活動(地区外の支店、工場、事業場の活動等)には及ばない。  更にこの場合、その法人の地区外の事業活動をも、調整事業に従わせ なければ効果があがらないとするならば、その事業活動をも含ませるよう、組合の地区を更に拡げるのが適当であると解する。

  • 公正取引委員会への届出について 
    Q6

    中協法第7条第1項第1号に規定する中小企業者の規模を超え、数カ所に支店をもつ業者が、各支店所在地に存在する組合に加入する場合、公正取引委員会への届出は、本店所在地の組合のみでよいか?

    A6

    中協法第7条第3項の届出義務は、組合に対して課せられたものであっ て、組合員が他の組合に重複加入している場合でもそれぞれ加入している組合に届出義務がある。

  • 小規模事業者でない者の発起行為について
    Q7

    中協法による事業協同組合の設立を計画して認可申請したが、設立発起人中に、従業員383名を有し資本金が1億円以上のいわゆる小規模の事業者でないものが加わっているので、実態調査したところ止むを得ないものがあると考えられたが、中協法は、小規模の事業者でないものの加入に関しては法第7条第3項に規定しているが、発起人に関しては何等規定がない。小規模の事業者でないものは発起人となり得ないと解すべきか?又は発起人として設立の手続を完了し成立した日から30日以内に所定の届出を公正取引委員会に行い、その認定をまってよいと解すべきか?ご質問する。

    A7

    発起人は、中協法第24条第1項の規定により、組合員になろうとする 者でなければならないことになっているので、組合員資格を有する者であれば発起人となることができる。  事業協同組合の組合員資格を有する者は、中協法第8条第1項に規定す る小規模の事業者であり、設例の事業者がこの小規模の事業者に該当するかどうかは、専ら実態判断によるべきで、300人を超え、資本金が1億円を超えているからといって直ちに小規模の事業者でないと速断することは適当でない。  貴方の判断でその事業者が小規模の事業者であり、定款の資格事業を行 う者であるならば当然組合員資格を有することになり、したがって組合の設立の発起人になり得るのである。

  • 組合設立手続中の事業実施について
    Q8

    設立認可申請中の協同組合は、その期間中、発起人又は役員の名において、組合としての業務の全部又は一部を実施することができるか?

    A8

    認可申請中の組合の発起人及び認可後設立登記完了前の組合の理事(以 下「設立中の組合の発起人及び理事」という。)の権限は、組合の設立それ自体を直接の目的とする行為に限られるものと解する。  したがって、その範囲を超えた行為によって設立中の組合の発起人及び 理事が取得又は負担した権利義務は設立後の組合にその効力は生じない。ただし、設立後の組合がその行為を追認した場合にはその効力は設立後の組合に生ずるものと解する。 

  • 組合の政治的中立の解釈について
    Q9

    中協法第5条第3項において規定する「組合は、特定の政党のために利用してはならない」とは、政治活動を一切禁止しているものと解釈すべきか否か?

    A9

     中協法第5条は、中協法に基づいて設立される組合が備えていなければ ならない基準と運営上守るべき原則を規定したものであり、第1項で基準を、第2項及び第3項で原則を示している。  設問の中協法第5条第3項「組合は、特定の政党のために利用してはな らない」の規定は、通称政治的中立の原則と称されるもので、中小企業者等が共同して事業を行う組織である組合は、経済団体という基本的性格を逸脱して政治団体化し、特定の政党の党利党略に利用されることは、組合の本来の目的からみて当然のこととして禁止している訳である。  しかし、本規定は、組合の外部勢力により、あるいは組合内部の少数者 によって、組合が政治目的のために悪用されることを防止する趣旨であり、したがって、総会等で特定候補者の支持を決議し、その者への投票を組合員に強制すること等を禁じているものと解されるので、組合の健全な発達を図るための例えば国会等への建議、陳情等までも禁止する意味をもつものではない。

  • 組合役職員の政治活動について
    Q10

    「組合は、特定の政党のために利用してはならない」という規制(中協法第5条第3項)以外に、中協法には特に規定していない。したがって、その趣旨に反しない限り、組合の役職員は、公民として有する政治活動は規制されないと解され、また、公職の候補者となることについても、道義上理事会の同意を求めるなり、就業規則の定めるところにしたがい最高責任者の許可を得た範囲で行うことについても同様禁止事項に該当しないものと解されるが、見解を承りたい。

    A10

    中協法第5条第3項の趣旨は、組合の外部勢力により、あるいは内部の少数者によって組合が政治目的のため利用されることを防止することにある。  具体的な内容としては、「組合の名において」特定の公職選挙の候補者 (組合の役職員が候補者である場合を含む)を推せんしたり、あるいは総会等において特定の候補者の推せんや特定政党の支持を決議することなどが該当すると解する。  したがって、組合の役職員が、本条の趣旨に反することなく、個人の立 場で政治活動を行い又は、公職選挙に立候補することは何ら差支えなく、憲法上認められた国民の権利として当然のことと考える。

事業

  • 団体協約締結事業を主目的とする組合設立について
    Q1

    卸売業者の協同組合の設立が計画されているが、設立の目的が共同経済事業は名ばかりで小売商に対する団体協約を主たる目的としている。このような目的をもった組合の設立は適当か?

    A1

     協同組合は経済事業を行うのが最も望ましいのであるが、業種によっては設立後直ちに着手し得ない事情もあるので、金融事業、福利厚生事業、又は教育情報事業或いは団体協約締結事業を当面の事業として行う場合があり、これは適法といえる。

  • 異業種組合の共同事業について
    Q2

    異業種で組織化し、主として教育情報提供事業と資金の貸付事業を行うことを計画しているものがあるが、このような組合でも設立が可能か?

    A2

    異業種組合は、異業種中小企業が協同してその相乗効果を発揮しようとするものであり、実施する事業も、共同製品開発、共同技術開発、教育及び情報の提供等のいわゆるソフトな事業が中心となることが見込まれるし、また組合員が共通に利用し得る事業として資金の貸付が活用されることが見込まれる。このことから、異業種組合の組合事業については、個々の組合の実情に応じた組合事業が行われるよう特に配慮する必要があり、例えば、教育及び情報の提供事業が中心的組合事業である場合であっても、これが効果的に実施されることが見込まれるときは設立を不認可とすることは適当でないとしている(58.8.27中小企業庁指導部長通達)。また、従来は、資金の貸付事業を行うに当ってはできるだけ「他の共同事業」と併せ行うのが適当であるとし、共同経済事業を行うことの指導が行われていたところであるが、上記通達により、「他の共同事業」には「教育及び情報の提供事業」等のソフトな事業が含まれると解されている。  以上のことから、設問の場合の組合の設立は可能であるが、これらの事業は、組合が主体的かつ積極的に取り組まなければ円滑な実施が困難となり、組合自体が休眠化する可能性及び公平性を欠く可能性も有しているので、設立後の運営の充実強化に務めることが必要である。 

  • 異業種組合の行う事業について
    Q3

    従業員の福利厚生のため、市内の業種の異なる事業者7社が集まって事業協同組合を設立し、社宅を共同で建設したいと考えています。金融事業も実施する予定です。この他にも事業を行いたいのですが、異業種であるため全組合員が共通に利用できる事業がなかなか見つかりません。一部の組合員のみが利用する事業を行うことは「直接奉仕の原則」に反するということですが、異業種の組合でも事業は常に全組合員が共通に利用できるものでなければならないのでしょうか。    

    A3

    事業協同組合は原則として、特定の組合員の利益のみを目的として事業を行うことはできません。  しかし、異業種の組合の場合、事業の種類・内容によっては一部の組合員のみが利用することがありえます。  次のような場合は、事業の利用が一部の組合員のみでも「直接奉仕の原則」に反しないとされていますので、実施事業を検討されてはいかがでしょうか。 組合事業が現実に一部の組合員についてのみ利用されるのであっても、組合事業の利用の機会が公平に与えられるようになっている場合 組合事業の利用の機会が過渡的に一部の組合員についてのみ与えられているにすぎないとしても、将来的に他の組合員にも利用の機会が与えられる計画、仕組みとなっている場合 組合員の事業が有機的に連携している組合において、資材購入や研究開発等の組合事業が一部の組合員についてのみ利用される場合においても、その効果が組合員事業の連携等を通じ究極的に他の組合員にも及ぶことが明らかである場合(58企庁第1194号、中小企業庁指導部長通達)

  • 異業種組合における共同事業の利用について
    Q4

    異業種の中小企業による組合設立の動きがあるが、異業種であることから、組合の事業によっては一部の組合員のみが利用する場合があり得る。このような場合には中協法第5条第2項の直接奉仕の原則に反しはしないか?

    A4

    異なった事業を行う中小企業者が、それぞれの有する異質の技能、技術等を出し合い相乗効果により新しい成果を生み出すために組織化を行おうとするものが出てきている。これらの組合は、異なる種類の事業を行う者の集まりであることから、組合事業の種類、内容によっては一部の組合員のみが利用することがあり得る。しかし、次のような場合には、中協法第5条第2項の直接奉仕の原則に反しないものと解されている(58.8.27中小企庁指導部長通達)。 組合事業が現実に一部の組合員についてのみ利用されるのであっても、組合事業の利用の機会が公平に与えられるようになっている組合 組合事業の利用の機会が過渡的に一部の組合員についてのみ与えられているにすぎないとしても、将来的に他の組合員にも利用の機会が与えられる計画、仕組みとなっている場合 組合員の事業が有機的に連携している組合において、資材購入や研究開発等の組合事業が一部の組合員についてのみ利用される場合においても、その効果が組合員事業の連携等を通じ究極的に他の組合員にも及ぶことが明らかである場合

  • 組合員等からの資金受入について(その1)
    Q5

    中協法による協同組合(以下「組合」という。)が、「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)」の事業を行うために、必要な資金を組合が増資する名目で一定の額(1口1万円)に達するまで日掛又は月掛の方法により預り金として受入れ(受入勘定科目「増資引当預り金」預り期間1年、支払金利は定期積金方式に準ずる)て調達すること、又は組合員から借受証券により借入れて(支払金利についての約定はしていないが年6%を予定している)調達することは組合員よりの消費貸借と理解されるので、中協法第9条の2第1項第2号に規定している「及び組合員のためにするその借入」に違反するものではないと解してよいか?

    A5

    組合が、「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む)」の事 業を行うために必要な資金を、増資の名目で受入れ出資金として貸付けることは貸付金が回収不可能となった場合等において増資をするために預り入れている組合員に不測の迷惑を及ぼすおそれがあり、ひいては増資の目的を達成し得ないこととなるので適当でない。  しかし、単に増資するまで経理を区分して日掛又は月掛の方法により組 合が受け入れることは差支えないが、これに対し組合員に金利を支払うことは預金の受入れとなると解する。  法第9条の2第1項第2号の規定の趣旨は、組合員に対する事業資金の貸付事業と組合員に貸付けるための事業資金の借入れを認めているのであり、組合がその行う共同加工施設の設置等の共同事業のために資金を借り入れる場合は本号に規定する資金の借入れには該当せず、その附帯事業として当然認容されるものであり、本号はあくまでも組合員の事業資金の貸付のために必要な資金の借入事業を認めているのである。  又、その借入先を特定しているものではなく、その必要な資金を銀行そ の他の金融機関に限らず、組合員からも借入れることによって実質的に預金の受入れになることまでも認められるものではない。

  • 組合員等からの資金受入れについて(その2)
    Q6

    金融事業の資金調達のため、組合員等より、3ヶ月、6ヶ月等に期間を限定し満期に利息を支払う契約で借入れている組合があるが、これは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第2条に違反する行為であると考えられるがどうなのか?

    A6

     組合が「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)及び組合員のためにするその借入」の事業を行うために、その必要な資金を銀行その他の金融機関に限らず、組合員からも借入れることは差支えないが、その借入れが預金貯金又は定期積金と同様の性格を有するものであるかぎり「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」に違反するものと考えられる。また、一定の期間を定め、その中途又は満期日に一定の金額を給付することを目的として掛金を受入れることは、相互銀行法に違反するものと考えられるのみならず中協法の事業協同組合の範囲を逸脱するものと考えられる。

  • 借入金額等の最高限度の解釈について
    Q7

    定款参考例の借入金額等の「最高限度」とは、次のいずれに解釈するのが正しいか?  (1) 年度間の借入累計額  (2) 借入残高の最高額

    A7

    最高限度を、ある期間中における増減の変化を通じての最高状態と解釈し、貴見(2)が正当と解する。

  • 合員の取引の相手方の債務保証について
    Q8

    組合員が銀行に対して、その営業上の取引の相手方の債務を保証する場合、組合は、事業として、その債務を再保証することができるか?

    A8

    組合員の銀行に対し行う債務保証が、その営業上の取引の相手方の債務であり、かつ、その取引に直接関係する債務の保証であれば、組合がそれを再保証することは、当該銀行が定款に定められた金融機関である限り、事業として行えるものと解する。

  • 組合のコンピュータネットワークの実施と員外利用規定について
    Q9

    当組合は、食料品卸売業で組織する組合です。これまで組合では組合員の取り扱う一部商品についての共同購入事業を実施してきましたが、組合の取り扱う商品が多岐にわたっており、仕入先及び小売業者等取引先との受発注業務が非常に煩雑であることから、組合にコンピュータを導入して取引先とのネットワークを構築し、組合員の取り扱うすべての商品に関する受発注業務のオンライン処理を行いたいと考えています。  しかし、一部組合員から「コンピュータネットワークの実施は、組合の共同施設であるコンピュータ及び組合事業を員外者である取引先に利用させることとなり、員外利用の規定に抵触するので、本事業は組合で実施するのではなく、別組織を設置して実施する必要がある。」との意見が出されました。組合が直接取引先との間でコンピュータネットワークを実施することの可否についてお教え下さい。

    A9

    情報化の急速な進展に伴い、中小企業にも情報化への対応がせまられる状況となっている中で、貴組合のように、組合員の受発注業務等を組合を中心としたコンピュータネットワークの構築によって合理化しようという気運が高まっています。  しかし、受発注業務等をネットワークによって実施することは、組合員のみならず、取引先等員外者との接続が必須条件となるため、いわゆる員外利用制限の規定との関連が問題となります。以下、ネットワーク実施におけるいくつかの業務について、具体的に考えてみることとします。 受発注業務  組合員の取引先(仕入先あるいは販売先)とのネットワークによる接続は、これまで組合事業として行っている共同販売、購買事業等の仕組みにおける受発注手段のコンピュータを利用したオンライン化であり、員外利用規定には該当しないと考えられます。 配送業務  組合が組合員の取扱品を配送するため、員外の配送業者に業務を委託し、オンライン化を図ることは、組合員の配送業務の共同化における連絡手段のオンライン化に過ぎず、1.と同様員外利用規定には該当しないと考えられます。 決済業務  本業務は、イ、組合員と取引先間における取引の代金決済 、ロ、組合員の取引先に対する支払いについての組合の代払い、の2つの形態がありますが、これらは組合員の取引先に対する決済をネットワークにより補完するものであり、同様に問題はないと考えられます。 取引先等への情報提供  受発注業務等により収集されるデータの取引先等への加工・提供は、組合員の事業活動の1つとして従来から行われている経営情報の提供(売れ筋情報、消費者ニーズのフィードバック等)の共同化であり、この範囲において問題は生じないと考えられます。 ネットワーク業務外活動  ネットワークの構築は、多大な投資、専門的知識を有する要員の確保等が必要となります。しかし、例えばシステムの立ち上がり期等においては、組合員のOA化の未熟さ等の理由から組合員の参加が少ないことが多く、システムの軌道化は容易ではありません。そのため、これら投資、要員確保等のための経費をカバーするには、員外利用・自営的活動(員外者への機器の販売、各種計算の受託、員外者又はネットワークシステム以外のシステム開発・販売等)を実施していかざるを得なくなる場合も考えられます。  しかし、これは組合員の事業に直接関係するものでないので、組合で実施する場合は員外利用制限の適用を受けることとなります。そのため、共同出資会社等の別組織を設立し、組合員内・員外を問わず広く事業を実施している事例もみられます。

組合員

  • 個人組合員の会社移行の場合の取扱いについて
    Q1

    組合員であるA商店(個人企業)では、現在、A商店を株式会社組織に変更する手続きを進めているところですが、手続きが完了した時、組合はA商店から、定款の規定に基づき、「名称」の変更届を出してもらうとともに組合員名簿を変更しようと考えています。この処理方法でよろしいでしょうか。

    A1

    「名称の変更」という点に着眼するならば、この手続きのみでよいように思われますが、この手続きには、大きな見落しがあります。つまり、定款で組合員に名称等の変更が生じた場合、届出義務を求めていますが、これは、個人企業の場合は、個人企業としての性格を有しながら、商号等の企業名を変更する場合です。  ご照会の場合は、「個人企業」であるA商店が、「株式会社法人」であるA商店に変更されるようですが、これは、個人企業であるA商店の脱退(A商店は代表者の事業の廃止に伴い法定脱退(中小企業等協同組合法第19条第1項第1号)とA商店株式会社という法人の新規加入という2つの行為を含んでいます。  したがって、原則的には、個人企業A商店には、事業の廃止に伴い持分払戻し請求権が生じ、組合は、この請求に応じ、脱退の手続きをとることが必要となります。また、法人であるA商店株式会社を組合に加入させるには、A商店株式会社からの加入の申し出が必要であり、この申し出に対する組合の承諾が得られた後、A商店株式会社は組合に対して、出資金の払込みを行うこととなります。  しかし、個人企業であるA商店と法人であるA商店株式会社が、実態的にみて、併存するようであるならば、組合員であるA商店は、組合の承諾を得た後、法人であるA商店株式会社に持分を譲渡し、脱退することが可能です。この場合には、譲り受けた法人は、当然に組合員となり、出資金の払込みは、必要としません。

  • 組合員と利害関係のある同業者の組合員の加入の是非について
    Q2

    私は仕出し屋を営む者で、同業者で構成している事業協同組合にも加入しております。今月の組合報を見ていましたら、私の店の近所に昨年出店したばかりのA商事が、組合への加入を承諾された旨を知りました。私のところはA商事とはいわば商売敵で、最新の調理機器を備えたA商事のために、昨年の売上はかなり減っております。また今後、A商事の加入のためにこれまでの組合の共同受注の割当ても減ることになるのではないかと危惧しております。組合がこのような利害関係にある私に何の相談もなくA商事の加入を承諾したことは甚だ遺憾であり、組合の今回の決定の白紙撤回を求めたいのですが、可能でしょうか。

    A2

    お話によりますと所属されている組合では組合員の加入については理事会で意志決定されておるように推察されます。中小企業等協同組合法では第54条において総会について商法第252条(決議の不存在確認・無効確認の訴え)を準用しており、総会決議の効力を争うことができることとされていますが、理事会についての同様の準用規定がありません。しかし組合員の加入のように、組合の意志決定が常に総会の議決によらなければならないというものでなく、その権限が理事会に委ねられている場合には、商法第252条を類推適用し、理事会の決議の無効確認を求めることは可能であると思われます。  さて組合法第14条では、組合は正当な理由がないのに組合員たる資格を有する者からする加入申込みを拒んではならない旨を規定しています。つまり資格を有する者に対してはその者が希望をすれば組合に加入して組合の事業の恩恵を受けることができるということです。  ここでの加入申込みを拒否しうる正当な理由とは、 加入申込者の規模が大きく、これを加入させれば組合の民主的運営が阻害され、あるいは私的独占禁止の適用を受けるおそれがある場合、 除名された組合員がただちに加入申込みをしてきた場合、 加入申込み前に員外者として組合の活動を妨害していた場合、 その加入により組合の信用が著しく低下するおそれがある場合、 共同施設の稼働能力が現在の組合員のみでも不足がちである等、組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となる場合 等に限られると解されています。  したがって、本事例の場合、単に受注配分が減るというだけでは、加入申込みを拒否し得る正当な理由とは言い難いと考えます。

  • 事業協同組合への加入の自由と加入拒否の「正当な理由」
    Q3

    事業協同組合が、加入申込者に対して、正当な理由がある場合には加入拒否ができると聞きましたが、どのような場合に「正当な理由」として加入を拒否することができるのですか。

    A3

    事業協同組合(以下「組合」という。)への加入の自由は、協同組合法の基本原則の1つです。組合員は任意に加入し、また脱退できることが組合の重要な要件であり、組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は正当な理由がないのに、その加入を拒み、またはその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならないこととされています(中小企業等協同組合法第14条)。  法は、組合が、相互扶助の精神を基調とする人的結合体であることから、加入の自由の原則をとっていますが、また、相互扶助の精神に基づき協同して事業を行う事業体であることから、組合の運営を考えて「正当な理由」のある限り加入を拒否することを許しています。この「正当な理由」とは、組合への加入資格がある者に対して一般的に保証されている加入の自由が、具体的な特定人に対して保障されないことになっても、組合法の趣旨から、あるいは社会通念上からも、不当ではないと認められる理由をいうものですから、組合が「正当な理由」に該当するかどうかを判断する際には、この点に十分留意することが必要です。  組合が加入を拒否できる「正当な理由」は、その原因が「加入の申込みをする側にある場合」と、「受け入れる組合の側にある場合」とがあります。  前者については、例えば、  加入申込者の規模が大きく、これを加入させれば組合の民主的運営が阻害され、あるいは独占禁止法の適用を受けることとなる恐れがあるような場合、  除名された者が、除名直後、またはその除名理由となった原因事実が解消していないのに、加入の申込みをした場合、  加入申込前に員外者として組合の活動を妨害していたような者である場合、  その者の日頃の行動からして、加入をすれば組合の内部秩序がかき乱され、組合の事業活動に支障をきたす恐れが十分に予想される場合、  加入により、組合の信用が著しく低下する恐れがある場合、  組合員の情報、技術等のソフトな経営資源を活用する事業を行う際に、その経営資源や事業の成果等に係る機密の保持が必要とされる場合において、例えば、契約・誓約の締結、提出などの方法により機密の保持を加入条件とし、これに従わないものの加入を拒む場合(ただし、条件はすべての組合員に公平に適用されることが必要)、  組合の定款に定められている出資の引受け、経費、加入金の負担等が履行できないことが明らかな者である場合、 等が考えられます。  また、後者については、例えば、  組合の共同施設の稼働能力が現在の組合員数における利用量に比して不足がちである等、新規組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となるよような場合、  総会の会日の相当の期間前から総会の終了するまでの間加入を拒む場合、 等が考えられます。  以上が、「正当な理由」と認められる場合の例示ですが、前者の246および後者の2は、平成3年の中小企業庁における組合制度の見直しにより、農業協同組合等他の協同組合制度の解釈を参考に、新たに「正当な理由」に該当するものとして認められたものです。

  • 加入拒否の「正当な理由」の解釈について
    Q4

    中協法第14条は、組合員資格を有するものであっても、組合は、正当な理由があれば加入を拒否できると解されるが、その正当な理由とは、どのような理由をいうのか?

    A4

     「正当な理由」とは、組合員資格を有する者に対して一般的に保障されている加入の自由が具体的な特定人に対して保障されないこととなっても、中協法の趣旨から、あるいは社会通念上からも不当ではないと認められる理由をいう。  「正当な理由」として認められるものとしては、次のような場合が考えられる。 (1) 加入申込者自体にある理由 加入申込者の規模が大きく、これを加入させると組合の民主的運営が阻害され、あるいは独占禁止法の適用を受けることとなるおそれがあるような場合 除名された旧組合員がただちに加入申込みをしてきた場合 加入申込み前に員外者として組合の活動を妨害していたような者である場合 その者の加入により組合の信用が著しく低下するおそれがある場合 組合の定款に定められている出資の引受け、経費又は加入金の負担等が履行できないことが明らかである者である場合 (2) 組合側にある理由  組合の共同施設の稼働能力が現在の組合員数における利用量に比して不足がちであるが等、新規組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となる場合  なお、「正当な理由」に該当するか否かについては、その事実をよく調査し、その実情に応じて判断するのが適当と考える。

  • 法定脱退した組合員の持分譲受加入の是非
    Q5

    組合員Aは平成○年12月2日組合員資格喪失により法定脱退したが、その未払持分を譲受けることによりBの加入を、翌年の3月15日の理事会で承諾した。このような資格喪失者の未払持分で譲受加入ができるか?

    A5

    脱退した組合員の持分は、脱退と同時に持分のもつ身分権的なものが喪失しており、持分払戻請求権という債権として残っているだけである。  したがって、既に法定脱退した者の組合員としての権利義務を承継することとなる譲受加入ということはあり得ず、当該譲受人の加入は新規加入の手続によらなければならない。

  • 加入金の性格と定款記載について
    Q6

    私どもの組合の定款には、脱退者の持分の払戻しについては、「組合員の本組合に対する出資額を限度とする」旨の規定をしております。模範定款例によれば、このように規定している組合では加入者からの加入金を徴収する旨の規定は削除することとされています。加入金は定款の定めがなければ徴収できないということですので、このことにより、私どもの組合では、加入金は徴収できないと考えられますが、どうしてなのですか。加入の際の事務手数料的なものを徴収することはできないのでしょうか。この場合、定款に「加入金」ではなく、「加入事務手数料」を徴収できる旨の規定をおくことはできるのでしょうか。

    A6

    中小企業等協同組合法では、組合が定款で定めた場合には加入金を徴収することを認めております(第15条、第33条)が、この加入金の意味については、特に規定しておりません。  しかし、その趣旨から広義に解釈すれば、持分調整金と加入事務手数料を意味するものと考えられます。持分調整金とは、持分の算定方法について、改算式算定方法(組合の正味財産の価額を出資総口数で除して、出資1口当たりの持分額を算定する方法。したがって組合員の持分は均一となる)を採っている場合において、組合財産の増加によって出資1口当たりの持分額が出資1口金額を超えている場合に、その超過した部分にあたる差額を新規加入者より徴収し、新規加入者と既存組合員との持分についての公平を保とうとするものです。  このように、持分調整金は、改算式の持分算定方法を採用する組合において徴収することになりますが、たとえ改算式を採っている組合でも、貴組合のように、定款の規定により脱退者の持分の払戻しが「出資額を限度」として行われる組合にあっては、常に払戻額が出資額を上回ることはなく、新旧組合員の持分の調整を行う必要が生じないので、持分調整金としての加入金をとることはできないとされています。模範定款例でいう「加入金」は、この持分調整金を意味していると解されますから、このような組合にあっては加入金の項を削除するよう指導されているのです。  次に、加入事務手数料についてですが、これは組合に加入する際に要する事務的費用、例えば出資証券や組合員証の発行費用などですが、これを加入者に負担させるために徴収するものをいいます。この加入事務手数料は広くは加入金の一種と考えられますが、これはあくまで実費の範囲を超えないものであり、その性質上それほど多額なものとなりえないものです。このような実費的なものの徴収は、加入金の規定によらなくても組合として徴収しうるものであるので、定款例では加入事務手数料については特にふれていないと考えられます。したがって、定款に加入事務手数料を徴収できる旨の記載がなくても徴収できるものと解されます。  しかし、このことは、加入事務手数料を徴収できる旨の定款記載を禁じるものでなく、例えば徴収の根拠を明らかにしておく等の必要がある場合には、この旨を記載しても差し支えないと考えられます。 (注) 持分の算定方法には、前記の改算式算定方法のほかに、各組合員について事業年度ごとに、その期間に生じた出資金、準備金、積立金等を、その組合員の出資金額、利用分量を基準として算定加算していく(したがって、組合員の持分は加入時期、事業の利用量等により不均一となる)加算式算定方法があります。

  • 出資1口の金額の増額手続き
    Q7

    私どもの組合では、組合の行う共同事業の拡大のため出資1口の金額を引き上げたいと思っております。  これについての手続きについてお教え下さい。

    A7

    出資1口の金額は、定款の絶対的記載事項ですから、その金額を変更するには、定款変更の手続きを必要とすることは言うまでもありません。  まず第1に、各組合員が追出資義務を伴うことになる出資1口の金額の変更を行う場合は、組合員の責任は組合に対する出資額を限度とする(中小企業等協同組合法第10条第5項)ことから、組合員全員の同意がなければ有効に定款変更できないものと解されます。  次に、出資1口の金額を増加する方法として併合による方法(以前の5口分を1口にまとめる方法など)があります。併合による方法の場合、組合員の出資口数に端数が生じないときは、総会の特別議決で出資口数の併合の方法による旨を定めて定款を変更することができます。しかし、出資口数を併合したときに出資口数に端数が生じる組合員があるときは、端数の出資口数をもっている組合員に追出資を強制することになりますから、出資1口の金額の変更についてその組合員の同意を得なければならないと解されます。  以上の方法によって、出資1口の金額を変更した場合は、次いで定款変更について行政庁の認可を受けることが必要です。認可を受けたときから効力が生じます。  また、定款変更の認可の告知があった日から、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内にその旨の変更登記を行って下さい。

  • 総会における増資決議の効力について
    Q8

    組合の自己資本充実を図るため、今後5年間配当金を出資金に振り当てるべく積立てることを総会において決議した。この決議は、以後においても効力を有し、本件については以後の各年度には総会の決議を要せず、以後5年間の配当金は自動的に組合の積立金となるものと考えてよろしいか?

    A8

     ご照会の総会の決議は今後一定期間の組合の方針あるいは計画を議決した程度にとどまると思われ、その範囲において全組合員を拘束するものと考えられる。しかし、実際の出資金充当のための積立てに当っては各組合員は必ずしもこれに拘束されるというものではない。  すなわち、組合員の責任は、その出資額を限度とするものであり(中協法第10条第4項)、増資の引受けについても、たとえ総会の決議をもってしても組合員を強制することはできないからである。  したがって、以後の処置としては、各年度に組合員の承諾を得る必要はないが、当初において各組合員別に承諾を得ることが必要である。

  • 組合出資の差押えについて
    Q9

    債権者である「組合員A」の申請により、裁判所より、組合に対して、債務者たる「組合員B」の組合出資金について「債権差押え並びに転付命令」が発せられた。  この事態に際し次の点をご教示願いたい。 Q1  組合員の持分と組合員資格はどうなるか? Q2  差押えた持分又は出資証券が競売される事態に当該組合員が脱退若しくは譲渡を認めない場合。 Q3  前項において、当該組合員が譲渡を認めた場合、組合がそれを承認しないとき。

    A9

    A1  債務者Bの組合員資格は喪失するものでなく、ただ組合よりの配当金取得ができなくなるだけであり、組合員Bの持分が変わるものではない。したがって、組合員Bが脱退し、持分払戻しのできる事態にならない限り転付命令が発せられることには疑問がある。 A2  組合員が脱退又は譲渡を認めない限り、債権者たる組合員AはBの出資あるいは持分を取得又は承継することはできない。なお、ご質問の競売については、組合の出資証券は有価証券でなく、単に出資したことを証する書面であるから、当然競売ということはありえない。 A3  中協法第17条によって、持分の譲渡は組合が承認しない限りできないので、たとえ組合員が譲渡を承認したとしても譲渡は行い得ないことになる。

  • 組合の債務に対する組合員の責任について
    Q10

    Q1  組合の借入金、買掛金等の対外債務に対する組合員の負うべき責任の限度については中協法第10条の出資金を限度とする有限責任は絶対的なものであるか?例えば、総会において、各自の出資金以上の金額を負担すべきことを決議した場合、あるいは、組合員の或特定の者を指名して負担せしめることを決議した場合等、この決議は有効であるか? Q2  上記に関して貸付金、売掛金等の未回収のため、借入金等の返済不能を生じた場合、責任は誰が負い債権の追及は何処まで及ぶか? Q3  赤字累積による清算の場合はどうか?

    A10

    A1  組合がその事業の遂行上、第三者と取引をし、借入金、買掛金等の債務を負い、かつ、その弁済が不能となった場合において、組合員が負うべき責任は、その出資額を限度とし、総会その他の決議をもってしても、これを超える責任を負わせることはできないものと解する(中協法第10条第4項)。  なお、組合が借り入れた資金を組合員に貸付けた場合、組合が共同購買した物品を組合員に販売した場合等において生じた組合と組合員間の債権債務関係については、出資とは関係なく、組合に対して債務を負っている組合員は、弁済の責に任じなければならない。また、組合の第三者に対する債務について全部又は一部の組合員が組合のために連帯して保証をしている場合(いわゆる連帯保証)に、その保証をした組合員は、個人的に無限に責任を負うことになる。 A2  従って、設問のごとく、組合員に対して出資額以上の責任を負わせること、組合の債務につき、特定の組合員を指名して弁済の責に任じさせること等を総会において決議し、決議なる故をもって負担させることは、法令違反であるから無効である。 A3  組合財産をもって債務を完済するに足りない場合において、解散をし、又は破産の宣告を受けたときも、組合員の責任は、上述の組合と同様である。  なお、本件の如き事例も、総会の決議である旨をもって組合員に限度額以上の出きんを強制することはできないが、自主的意思によって負担しようとすることを阻止するものではない。

  • 行方不明組合員の出資金整理について
    Q11

    組合員Aは、昭和○○年1月30日に組合に加入し、平成×年12月30日まで組合を利用していたが、その後行方不明となった。組合としては、Aの出資を整理し実質上の組合員の出資のみとしたいが、どのような処理が適当か?なお、Aの組合に対する負債はない。

    A11

    出資を整理するには、当該組合員が組合を脱退することが前提となり、ご照会の場合の行方不明組合員については資格喪失による脱退か、または除名による強制脱退が考えられる。具体的事情が不明で判断し兼ねる点があるが、もし行方不明と同時に事業を廃止しているのであれば、資格喪失として処理することが可能と解する。この場合、組合員たる資格が喪失したことを理事会において確認した旨を議事録にとどめると同時に、内容証明郵便をもって持分払戻請求権の発生した旨の通知を行うことが適当と考える。除名は総会の決議を要しこの場合除名しようとする組合員に対する通知、弁明の機会の賦与等の手続が必要であるが、組合員に対する通知は組合員の届出住所にすれば足り、この通知は通常到達すべきであったときに到達したものとみなされるから一応通知はなされたものと解される。弁明の機会の賦与については、その組合員が総会に出席せず弁明を行わない場合は、その組合員は弁明の権利を放棄したものとみなされ、除名決議の効力を妨げるものではないと解される。  なお、除名が確定した場合は、資格喪失の場合と同様の通知をするのが適当である。  以上の手続きにより、当該組合員に持分払戻請求権が発生するが、その請求権は2年間で時効により消滅するので、時効まで未払持分として処理し、時効成立をまってこれを雑収入又は債務免除益に振替えるのが適当と考える。

  • 組合員の出資口数に係る限度の特例について
    Q12

    私どもの事業協同組合は、現在、事業拡張のための増資を計画していますが、組合員の大半が小規模な事業者であるため負担能力の問題があり、今回は理事長企業をはじめ一部の有力な組合員の割当比率を高目に設定しています。ところが、この割当て案でいきますと、増資後の理事長企業の出資比率が全体の30%を占めることとなり、25%の法定限度を超えてしまいます。昭和59年の中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)の改正で、組合員の出資口数に係る限度の特例が設けられたと聞きましたが、今回のような場合でもこの特例の適用が受けられるのでしょうか

    A12

    組合法は、組合員の平等を実質的なものとし、組合の民主性を確保するため、1組合員の出資口数を、事業協同組合にあっては、原則として出資総口数の25%以内に制限しています。これは、少数の者に出資が偏ると、実際の組合運営が多額出資者の意図する方向に傾き、議決権及び選挙権の平等が事実上崩される恐れがあるからです。  ただし、この出資口数の制限については、ご指摘のとおり、昭和59年の組合法の改正により特例が設けられています。この特例は、組合財産の維持の見地から、特定の場合に限って、組合員は例外として出資総口数の35%まで持つことが認められるというもので、この特例が認められるのは、次の4つの場合に限られています。 組合員が自由脱退しようとする場合で、他の組合員がその持分の全部又は一部を譲り受ける場合 法人たる組合員同志が新設合併した結果、新たに成立した法人が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受けて、新たに組合員として加入してくる場合 法人である組合員が法人である組合員を吸収合併した結果、存続する組合員が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受ける場合 合併以外の事由により法定脱退した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を、他の組合員がその組合員の脱退後1年以内に引き受ける場合  要するに、出資口数の限度に係る特例の適用は、組合員の脱退や合併といったやむを得ない事情により減少した組合財産を補う場合に限られており、したがって貴組合のような増資のケースには、この特例の適用は認められておりません。これは、組合財産の維持・充実という観点からは、負担能力のある組合員に応分の出資を引き受けてもらうことが望ましいものの、特例の範囲をあまり広く認めると、組合員の平等性の実質的な維持が難しくなることが懸念されるからにほかなりません。

  • 脱退者に対する持分の分割払戻しについて
    Q13

    多額の借入金、出資金等によって固定資産を取得している工場団地協同組合等において、組合員が脱退した場合、脱退者の持分を全額一時に払い戻すことは組合の資金繰りがつかず組合運営に支障をきたすことが考えられる。  そこで、定款変更するに当たり次の点について、ご教示願いたい。 (1) 持分の払い戻しを年賦払いとすることの定款変更の適否について。 (2) 適当である場合の年賦払いの期間はどの程度が適当であるか? (3) 定款変更案として次のような定め方は適当であるか? 事業協同組合定款例第14条に相当する規定に次の1項を加える。 案の1 「2 前項の払い戻しの期限は、脱退した事業年度の決算確定後○年以内の年賦払いとするものとする。ただし、年賦払いによる利息は支払わないものとする。」 案の2 「2 前項の払い戻しは、年賦払いとし、その期限は、総会の定めによるものとする。ただし、年賦払いによる利息は支払わないものとする。」

    A13

    持分の払い戻しの取扱いについては、昭和46年1月6日付45企庁第 2,048号及び昭和46年4月8日付46企庁第534号で通知したとおり、持分を一時に全額支払うことが組合の事業運営に重大な支障を来す場合においては定款で定めれば、その一部に限り(例えば出資額を限度として)払い戻すことができる。持ち分の全額払い戻しの場合も同様の理由から定款上分割払いを規定することは可能と考える。  しかし、分割払いによって不当に脱退が制限されるべきではなく、1回の払戻金額、賦払期間が合理的に定められる必要がある。この場合、どの程度までの分割払いが合理的かは具体的事情に即して判断されるべきものと考えるが、中協法上出資払込みにつき分割払いの際、第1回の払込金額は、出資1口の金額の4分の1以上としていること(第29条第2項)から第1回払戻額が出資額の4分の1以上であれば合理的といい得るものと考える。ただし、分割払いにより脱退を不当に制限しないという趣旨から3年賦払いの場合、一般的水準の金利を支払うことが適当と考える。  なお、払戻の方法(1回の払戻額、賦払い期間等)は中協法第20条第 1項の趣旨から具体的には定款で定めるべきものと考える。

  • 持分の譲渡について(その1)
    Q14

    中協法第17条第1項によれば、組合員は、その持分の譲渡について組合の承諾を得なければならないこととなっているが、組合は、その承諾を総会で決定しなければならないか?あるいは理事会でよいか?  また、同条第2項においては、持分の譲受人が組合員でないときは加入の例によらなければならないこととなっているが、加入の例によるとは、どの範囲を意味するのか?

    A14

    持分譲渡の承諾は、業務の執行に属すると考えられるので、加入の承諾の場合と同様(事業協同組合模範定款例第9条第2項)理事会で決定すれば足りるものと解する。  「加入の例による」とは、加入の場合に準じて取り扱うということであるから、譲受人は組合員たる資格を有する者であって、かつ、その持分を譲り受けると同時に組合に加入する意思を有していなければならないことになる。また、組合の側においては、その譲渡の承諾に当たっては、正当な理由がなければこれを拒否し、又は承諾に際して不当に困難な条件を付してはならない。

  • 持分の譲渡について(その2)
    Q15

    Q1  他人の持分の全部又は一部を譲り受けて組合に加入しようとする者からも加入金を取る定めをしても良い。 Q2  中協法第17条第3項の「持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する」とあるが、この場合の権利義務の承継とは具体的にどの様なことを言うのか?また質問1との解釈上の関連性について説明されたい。 Q3  加入に関し、定款に「他人の持分の全部又は一部を承継した場合はこの限りでない」と規定したとき、この後に「この場合の全部又は一部とは5口以上をいう」と但し書きしてもよいか?

    A15

    A1  加入金は持分調整金としての性格を有するものであるので、持分譲受加入の場合には徴収できないと考えられる。なぜならば、持分譲受加入の場合には、出資の払込手続を必要としないので、定款に定めた出資一口金額とこれに応ずる持分額との調整を行う必要が生じない(すでにこの点を考慮して持分の譲渡価格が当事者間で決定されたものと考えられる。) A2  組合員の持分とは、組合員がその資格に基づいて組合に対し請求し又は支払うべき計算上の金額とこれを含めた組合員として有する権利義務を包括的に指す、組合員たる地位ともいうべきものの二義があると解され、本条、第15条、第16条、第61条にいう持分は後者を意味し、第20条、第22条は前者を意味している。  したがって、法律上の持分が、いずれの意義に用いられているかは、個別的に判定すべきである。  このような観点から本条における持分を組合員たる地位の譲渡と解するかぎり議決権、選挙権、出資義務、定款服従義務等、組合員として当然有する権利義務も承継されるとともに持分払戻請求権又は出資払込義務も承継されるのである。  1との関連について、持分の譲受加入の場合には原始加入の場合と異なり、出資払込及び持分調整金の問題が生じないのは、本条の持分を前述のとおり解すれば、持分の譲渡は組合員の入替を意味する場合もあるから、その譲受に伴う代金(払込済出資金と持分調整金との合計額)の授受は当事者間で行われ、組合と譲受人とのあいだには関係を生じないからである。 A3  貴組合の定款において、貴組合への出資口数を最低5口以上とし、また、現組合員のすべてが5口以上の出資を有しており、かつ5口未満の口数が生じた場合の処置が明確であれば差し支えないと解する。つまり、上記の場合以外においては新規加入者と譲受加入者との均衡を失するとともに脱退の自由を制限するおそれがあると思料されるからである。

  • 脱退を申し出た組合員の取扱等について(その1)
    Q16

    自由脱退者の取扱について  中協法第18条により組合を脱退することができるが、その予告期限、脱退の時期等は中協法により90日前までに予告し、事業年度の終了日に脱退できるようになっている。  したがって、それまでは組合員の地位を失ってないから、その組合員も他の組合員と同様に議決権の行使、経費を負担する等の権利、義務を有するが、脱退者の申出の点についての効力と其の取扱い方について、 (1) 1 A組合員 5月10日に脱退の申出をした場合 2 B組合員 7月2日に脱退の申出をした場合 3 C組合員 12月30日に脱退の申出をした場合 (2)  脱退申出の組合員が其の後の組合運営についての権利義務を主張し行使できるか否か。 (3)  脱退者は其の申出日以降組合賦課金の納入をせず期末迄見送ることになるが、その間の取扱い方について。 (4)  脱退した組合員に対し期末に精算等の上、出資金の払戻をするが未納賦課金を其の際持分払戻する場合相殺して差支えないか。法第22条からして相殺することも妨げないと解されているか。

    A16

     設例の組合事業年度終了日が3月31日であれば、(1)の1~3は、いずれも90日の予告期間を満足させているので、脱退の申告があった日の属する事業年度末までは、組合員たる地位を失わないから、脱退の申出をしない組合員となんら差別してはならない。したがって、(2)についても事業年度末までの期間内は組合員としての権利義務を負わなければならないし、また(3)にいうごとく、賦課金を納入しないならば組合員としての義務を怠ることになり、除名、過怠金の徴収等の制裁も定款の定めにしたがって可能となるわけである。(4)については、脱退した組合員が組合に対して未納賦課金その他の債務を負っている場合は、組合は中協法第22条の規定による持分の払戻停止によって対抗でき、あるいは民法第505条の規定により払い戻すべき持分とその債務とを相殺することもできる。

  • 脱退を申し出た組合員の取扱等について(その2)
    Q17

    Q1  中協法第18条に、組合を脱退するには「事業年度末90日前迄に予告し、年度末に脱退できる」とあるが、例えばある組合で為された決議が一部の業態の組合員に著しく不利で営業不能となる為、仮に9月1日に脱退を通告しても、翌年3月末日迄は脱退できないか、又その決議に拘束されるか? Q2  組合員が転廃業して組合を脱退したが、1ヶ月又は2ヶ月後再び元の事業を始めた場合、前に加入していた組合の拘束を受けるか?

    A17

    A1  中協法第18条に自由脱退の予告期間及び事業年度末でなければ脱退できない旨を規定した趣旨は、その年度の事業計画遂行上、組合の財産的基礎を不安定にさせないためであるから、設例のような場合、即ち9月1日に脱退を予告しても翌年3月末日迄は脱退できない。従ってその間、除名されない限りは依然組合員であるから決議にも拘束されるし、組合員としての権利を有し、義務を負わなければならない。 A2  組合員が転廃業すれば、組合員資格を失い、法定脱退することになるので、組合員資格としての事業を再開しても、直ちに組合員となるわけではないから、その組合の拘束を受けることはない。

  • 脱退予告をした組合員への経費の賦課と配当について
    Q18

    ある組合員から、事業年度の途中で文書により脱退したい旨の通知がありました。その後、その組合員は組合の共同事業を利用しなくなったのですが、本年度の残りの経費(賦課金)の請求をしてもよいのでしょうか。また今年度は、かなりの利益計上が予想される状況にありますが、来年度の通常総会において、配当する旨の決議がなされた場合は、その組合員にも配当できるのでしょうか。

    A18

    組合員は、その年度の90日前までに予告することにより、組合を脱退することができますが、脱退の時期は事業年度末とされています(中小企業等協同組合法第18条)。このように脱退の時期を事業年度末に限定したのは、脱退による持分の払戻しにより組合事業計画が遂行できなくなることを防止する等の主旨からですが、いずれにしても、廃業等による組合員資格の喪失(法定脱退)でない限り、事業年度末までは他の組合員と同様に組合員としての権利・義務を有しているわけですから、仮に共同事業を利用しなかったとしても、年度中に賦課される経費を免れることはできません。したがって、組合は残りの経費を請求すべきです。  請求しても、なお組合員が経費を支払わなかった場合は、組合は脱退に際しての持分の払戻しを、経費の支払いが完了するまで停止することができる(中小企業等協同組合法第22条)ほか、更に民法第505条の規定により、払戻すべき持分と未収の経費を相殺することも可能です。  また、事業年度末に脱退した組合員に対する配当については、その源泉である剰余金は、その組合員の脱退した日が属する事業年度において生じたものですので配当することは可能であると考えます。

  • 脱退届の撤回について
    Q19

    私どもの組合の事業年度は3月までですが、年が改まってから脱退届の撤回の申し出をしてきた組合員がおります。定款では事業年度の末日の90日前までに脱退の予告をする旨定めていますがどのように取り扱えばよいでしょうか。

    A19

    中小企業等協同組合法第18条第1項では、脱退に関して事前予告制度を規定していますが、その趣旨は無制限に随時脱退を認めると組合はその都度持分の払戻しを余儀なくされることになって当該年度の事業計画の遂行に支障をきたし、ひいては取引の相手方の保護に欠けることにもなるなどの点を配慮し、脱退しうる時期を画一的に事業年度の終わりに制限し、かつ一定の予告期間をおくことを定めたものです。  また一旦脱退届が出されたときは、事業年度の終わりにおいて改めて脱退の意思表示を要することなく当然に脱退の効力を生じる性質の意思表示と考えられます。そのため事業年度の終わりが到来し脱退の効力が確定的に生じた以後では撤回する余地はありませんが、それ以前の段階では当事者間に何ら権利変動が生ぜず、その撤回を許したからといって組合もしくは第三者に格別の不利益を及ぼすことにはならないので、撤回が信義に反すると認められるような特段の事情がない限り原則として撤回できるものと思われます。

  • 法定脱退者の持分払戻請求権の時効進行時期について
    Q20

    中小企業等協同組合法第21条には、脱退者の持分払戻請求権は脱退の時から2年間行使されない場合は時効となる旨の規定がありますが、組合員の解散・死亡等による、いわゆる法定脱退の場合は、その事由が発生した時から時効が進行するものと考えてよろしいでしょうか。

    A20

    解散等による法定脱退の場合は、その事由が発生した時にその組合員は当然に脱退することになります。したがって、持分払戻請求権もこの脱退事由の発生時(脱退時)に発生します。  しかしながら、持分の価額は、事業年度末における組合の財産によって算定することとなっています(中小企業等協同組合法第20条第2項)ので、持分払戻請求権は、この持分が算定された後に行使されることとなります。  つまり、法定脱退の場合も自由脱退の場合と同様に事業年度末までは、これを行使することができないこととなっています。  このようなことから、法定脱退者の持分払戻請求権の時効も自由脱退者と同様に事業年度末から進行するものと考えます。

  • 組合在籍年数により賦課金・手数料に差等を設けることについて
    Q21

    設立後数年は配当もなかったが、創立後10年を経た今日、業績も伸び収支もよくなり、新組合員は加入時から配当もあり、事業利用条件も有利となっているので、創立時の組合員とその後の加入組合員とで、次のように賦課金等に差等を設けることはできるか? Q1  創立後加入組合員のみから何らかの方法で賦課金を徴収すること。 Q2  使用料及び手数料についても、上記のように差等をつけてよいか?

    A21

    A1  一般に経費の賦課方法としては、組合員に一律平等に賦課するいわゆる平等割の方法や、組合員の生産高、販売高等によるいわゆる差等額の方法、あるいはこれらの方法を併用する方法等があるが、経費は組合の事業活動に必要な費用(例えば、事務所費、人件費等)として充当される組合内部における一種の公課的なものであるから、新規加入者に対してのみ賦課することは法第14条に規定する現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付したことになると解する。 A2  使用料及び手数料は、組合の経済的事業の運営上必要な費用を賄うためのもの(例えば、資金貸付利子、検査のための手数料等)であって、これも新規加入者に対してのみ徴収することとすることはできない。

管理

  • 役員任期に関する定款変更認可等について
    Q1

    総会において、理事及び監事の任期を1年延長する目的をもって理事及び監事の任期を「2年」とあるのを「3年」にそれぞれ定款の変更を決議(組合員110名、出席者数65名、全員賛成)した場合において、次の各号に該当するときは、適法であるか? Q1  理事及び監事の任期中(現在2年)に改正した場合、そのまま理事及び監事の任期は延長(更に1年)されると解して差支えないか? Q2  6月27日に任期満了する理事及び監事が同日本文の定款変更が決議された場合において7月12日に上記定款変更認可申請書の提出があり同日これを認可したときは、理事及び監事の任期が6月27日現在をもって満了し、自然退任すると解し、新たな選挙を必要とするか? Q3  前号の定款変更認可申請書の提出があった場合において、その定款変更箇所を運営指導として、一定の条件(例えばこの規定は平成〇年6月27日から適用する、と記載した場合等。)を付記させて認可しても差支えないか?

    A1

    A1  Q1については、定款変更は認可により効力を生ずるため、任期中に認可があれば貴見の通り解しても差し支えない。 A2  Q2については、定款は認可により効力を生ずるため、認可以前に任期が来た理事及び監事は自然退任となり、新役員の選挙を行わなければならない。 A3  Q3については、中協法においては設例のような遡及して効力を発生しようとする意思ないし行為を認可することはできないものと解する。

  • 役員の任期の起算日について
    Q2

    私は、平成5年5月28日に開催された通常総会において理事に選出され、就任しました。組合の定款では任期は「2年」となっています。2年後の任期満了日は、平成7年の5月28日でしょうか、あるいは5月27日でしょうか。

    A2

    理事などの役員の任期は、中小企業等協同組合法第36条により「3年以内において定款で定める期間」と定められていますが、この役員の任期の起算は、民法の規定に従わなければなりません。民法では、次のように規定されています。 (期間の起算点(2))「第140条期間ヲ定ムルニ日、週、月又ハ年ヲ以テシタルトキハ期間ノ初日ハ之ヲ算入セス但其期間カ午前零時ヨリ始マルトキハ此限ニ在ラス」  ご質問では、5月28日に就任できる状況(前任者の任期が切れているか、辞任届が提出されている等の状況)にあると思われますので、就任日は、5月28日ですが、起算日は前記の民法第140条の前段により「期間の初日は算入されず」、翌日(29日)から起算されることとなり、2年後の平成7年5月28日が満了日となります。  なお、総会開催日である5月28日に現任者の任期が満了となるため、翌日の29日に就任するような場合は、民法第140条後段により、29日の「午前零時より」任期は始まるので、就任の初日である29日は期間に算入されることとなり、2年後の任期満了日は、平成7年5月28日ということになります。

  • 辞任した役員の残任義務について
    Q3

    組合の定款では、理事の定数を「6人以上8人以内」と定めており、当初総会で6人を選出していたが、今回1人の辞任者がでた。組合では、この辞任者については残任義務があるとの解釈をしていたがたまたまある弁護士に相談したところ、従来の見解と異にするため、その根拠についてご説明いただきたい。  (弁護士見解)  商法第258条第1項欠員の場合の処置(残任義務)、同法第498条第1項18号では補充義務が規定されており、これらの規定は、法律又は定款所定の取締役の員数の最低限を割った場合のみ適用され、法律又は定款所定の最低員数の取締役が存在している場合は、株主総会において実際上選任されている員数を欠いても適用されない。  しかし、一方においては中小企業協同組合法第35条第6項では、一定の範囲内(下限の1/3を超えない範囲)において補充義務を免除している。  本来、補充義務と残任義務とは表裏一体の関係にあり、一方を免除し一方のみを課すのは妥当とはいえない。また、補充義務だけを免除し、残任義務を課す合理的な理由も考えられない。  以上の理由から今回のケースについては、組合に補充義務もなければ、辞任者について残任義務はないものと判断される。

    A3

    組合における理事の定数は、組合の規模、事業内容等に応じ組合の業務執行上必要な人数を定款で定めたものであり、常に定数を充たしておくべきものである。  理事の実員数が定款上の定数に不足することは、そのこと自体定款違反の状態であり、この場合当該組合の理事は法に定められた定数の遵守義務規定(中協法第42条で商法第254条の2を準用)の上からも速やかに理事の欠員分を補充する手続きをとらなければならない。  また、中協法が第35条第6項において、商法第498条第1項第18 号と異なる補充義務規定を置いているゆえんは、同条第4項において、理事の定数のうち3分の1までは、員外理事とすることが認められたことにかんがみ、員内理事者が3分の1を超えて欠けた場合、員外理事者が員内理事者を上回る場合がでて不都合となることを配慮し、特に3ヶ月以内という期間を限って欠員補充を義務づけた点にあるものと考えられ、同項は決して定数の3分の1を超えた欠員が出るまでの補充義務を免除したものではない。  したがって、設例の場合は定款で定める理事定数(6人)を1人でも欠いた場合は、直ちに該当理事者に残任義務が発生するものというべきで、罰則を伴った補充義務規定がないことを理由にこれを否定すべきものではないと考える。  なお、定款において理事の定数に幅をもたせている場合において、下限の人員を選出すると、今回のような事態も生じやすく、「6人以上8人以内」として理事に2人の余裕をもたせた意味がなくなるので今後は定数の上限を選出するようにされたい。

  • 代表理事の資格と残任義務について
    Q4

    甲事業協同組合の代表理事が任期途中で理事を辞任してしまいました。そこで、次の2点についてお尋ねします。 Q1  この場合、その代表理事は、理事としての退任によって代表理事の地位をも失うことになるのでしょうか。 Q2  もしそうだとすると、その代表理事の残任義務はどのようになるのでしょうか。

    A4

    A1  代表理事については、中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。) は、商法規定を準用しており、理事会において理事の中から選任する建前をとっています(商法第261条←組合法第42条)。したがって、代表理事は理事であることを前提としますから、理事の任期満了、辞任、解任などにより理事を退任した場合には、代表理事をも当然に退任することになります。 A2  理事の残任義務についても、組合法では商法規定が準用されており、理事の退任によって理事に欠員(定数割れ)を生じた場合には、任期満了又は辞任による退任者は、後任者が就任するまで引き続き理事としての権利義務を有することになっていますが、代表理事についてもこの規定が準用されています(商法第258条Ⅰ←商法第261条Ⅲ←組合法第42条)。  ご質問の場合に代表理事としての残任義務があるかどうかについては、次の3つのパターンに区分してみる必要があります。  すなわち、 1. その退任によって、理事・代表理事ともに欠員を生じた場合には、退任者は理事としての残任義務を負うと同時に、代表理事としての残任義務をも負うことになります。 2. また、その退任によって、理事の定数を欠いても、理事会の選任により代表理事には欠員を生じない場合には、退任者は単に理事としての残任義務を負うにとどまり、代表理事としての残任義務はありません。 3. では、その退任によって、代表理事の定数を欠いても、理事には欠員を生じない場合はどうでしょうか。一見、代表理事に欠員を生じているので、退任者は代表理事としての残任義務を負うかのようですが、この場合には、退任者は理事としての権利義務者ではないのですから、代表理事の地位が理事の資格を前提とする法の趣旨からして、代表理事としての残任義務はないとされています。

  • 員外理事の代表理事就任について
    Q5

    事業協同組合において、員外の理事が代表理事になれるか?理事長、専務理事が共に員外である場合はどうか?

    A5

     員外理事は、組合事業に専念できる者を得るために設けられた制度であることから、代表理事になることは差支えない。しかしながら組合は組合員のための組織であることを考慮すると組合の長は組合員のうちから選任されることが好ましい。  また、理事長、専務理事が共に員外理事であることは一般的には避けるべきであるが、特別の事情でそれが組合運営に却ってプラスとなるのであれば、一概には排除すべきことではないと考える。

  • 規則、規約等の定義について
    Q6

    協同組合の運営上、諸規約諸規程の設定は必要欠くべからざるものであるが、これらを作成するに当たって次の原則的な説明と相違点並びにその使用される場合の事例をお知らせ願いたい。 Q1  規則とは Q2  規約とは Q3  規程とは Q4  規定とは

    A6

    規約、規程については必ずしも明確な区別はなく、混同して使用されているので、一般的に定義づけることは困難であるが、従来の慣習並びに字義により区別すれば大要次のとおりと思われる。 A1  規則とは、広義に規則という場合、諸々の事項を規定した例えば定款とか規約とか、規程等を総称していわゆる「さだめ」をいうが、最狭義に規則という場合は国の立法機関としての国会以外の機関が制定する成文法=それらは名称を規則というだけで必ずしも法的性格を等しくするものではない=をいい、現在、最高裁判所や衆・参議院等特定の諸機関が規則制定権を認められている。なお各大臣が主任の行政事務について発する命令が規則という形であらわれていることもある。 A2  規約とは、例えば協同組合等が組合の業務運営その他一定の事項に関し、組合と組合員間を規律する自治法規であって定款と同様、総会において決められるべき性質をもったもので、選挙規約、委員会規約、金融事業規約、共同購買事業規約等がある。 A3  規程とは、例えば協同組合が組合の事務、会計その他に関して定める内部的な規律であって、主として事務遂行上必要な関係を規律する内規律的なもので、理事会等に諮り決定し得る性質をもつもので、文書処理規程、服務規程、経理規程、給与規程等がある。 A4  規程とは法律、定款、規則、規約、規程などの条文に定められている個々の内容をいい、普通は条文の内容を指すものと考えてよい。

  • 組合諸規程の決定機関について
    Q7

    本組合では、組合運営に必要な規程類を現在作成中であるが、下記のものは総会の承認を得る必要があるものか、理事会の決定のみにてよいものか教示願いたい。 記 文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、 退職金規程、昇給規程、旅費規程

    A7

    組合の文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、退職金規程、旅費規程等主として組合の業務執行上必要な関係を規律する内規的なものの決定は、理事会の議決をもって足り、総会の議決を経る必要はない。  ただし、給与規程、退職金規程が常勤等の役員に適用される場合は、理事会の決定では事柄の性質上適当でないので、総会の議決を経て決定するのが望ましい。  なお、役員選挙規約、共同施設利用規約(実際には役員選挙規約、共同施設利用規程といっている場合が多い。)等組合の業務運営その他一定の事業執行に関し、組合と組合員間を規律する自治法規的なものについては総会の議決を経て決定しなければならない(中協法第34条)。

  • 代表理事を総会で選任することについて
    Q8

    総会において理事を選挙する際、代表理事を特定して選挙することができるか?たとえば理事の定数は5名であるが、そのうち1名は代表理事となるので、選挙の際代表1名、代表権のない理事4名として総会で直接選挙したり、あるいは、選挙は普通に5名を選挙するが、最高得票者を代表理事とすることを条件として行うような選挙方法をとってよろしいか?

    A8

    理事一般については、組合と委任契約を締結するのであるから(中協法第42条において準用する商法第254条第3項)中協法においては、総会で選挙する旨を規定しているが(中協法第35条第3項)、代表理事は、理事会を構成する他の理事との信任関係に立ちながら、理事会で決定された組合の業務の執行を正確に実施するところの組合の代表機関であると解される。  したがって、この趣旨から代表理事は、理事会において選任すべきものとして中協法第42条で商法第261条第1項の規定を準用している。いわば代表理事の選任は理事会の専決事項であるから、これを直接総会で選挙することはできない。

  • 役員定数について
    Q9

    中協法第35条第6項に「理事又は監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、3箇月以内に補充しなければならない」となっているが、 Q1  定数とは何を指すのか? Q2  本組合の定款変更案では役員の定数及び選任について「本組合の役員は理事25人以上30人以内、監事3人又は4人とする。」としてあるが、この場合上限の理事30人の3分の1つまり10人まで欠けても補充選挙しなくともよいと解しているが如何?但し25人と下限を決めているのでこの場合は5人まで欠けて25人になっても補充選挙の必要はないか?  次に監事の場合上限4人の3分の1つまり1人を欠けても補充選挙の必要はないか? Q3  法定数とは何か?この場合25人と解してよろしいか?

    A9

    A1  定数については従前は確定数をもって定めることとしたのであるが、役員の死亡等により欠員を生じた場合に、その都度選出することは、事実上不便を生じることが多く、実態にそぐわない点もあるので「何人以上何人以内」を定数としている。 A2  役員補充の場合における取扱いについては、中小企業庁では定款に記載した下限を基準とすることにしているので、説例の場合25人の3分の1以上、即ち9人が欠け16人になった場合に補充選挙の必要が生じてくることになる。  監事の場合も同様に下限の3人の3分の1以上が欠けた場合に補充義務が生ずることになる。 A3  上述の趣旨から「何人以上何人以内」を法定数といい、説例の場合は「25人以上30人以内」が法定数であって、下限の25人をもって法定数とはいわない。

  • 理事定数を減員する場合の方法について
    Q10

    次の役員改選を機に、理事の定数を現在の8名から7名に減員したいと考えていますが、どのような方法で行えばよいでしょうか。

    A10

    理事の定数を減員する場合には、予め、理事定数の変更に伴う定款変更のための総会(総代会を含む。)を開催し、そこで定款変更の決議を行い、行政庁の認可を受けたのち、役員改選のための総会を開催し、新定数(7名)による理事を選出するという方法がまず考えられます。ただし、この方法によりますと、短期間のうちに2度総会を開催しなければなりませんので、現実の対応が困難な場合も見受けられます。そこで、実務上定款変更決議と役員改選を同一総会において行うことが要請されるわけですが、これには次の2つの方法が考えられます。  1つは、定款変更決議後、ただちに未認可の変更定款(新定款)により新役員を選出するが、その就任については停止条件を付し、全員が定款変更の認可後に就任するという方法です。  2つは、定款変更後、現行(変更前)定款により8名の新役員を選出し、全員ただちに就任するという方法です。ただし、この方法による場合は、定款変更認可後に、定款規定(7名)と現行役員数(8名)との間に相違が生じますので、調整が必要となります。この調整の方法としては、超過する員数の役員に自発的に辞任してもらうか、あるいはその役員の任期に、定款変更の認可日までとする旨の解除条件をつける(つまり、一部役員の任期を制限する)方法が考えられますが、この解除条件は、役員選出前に、定款変更と同じ特別議決によって決議しておく必要があるでしょう。

  • 顧問・相談役・参与について
    Q11

    私どもの組合では、今般の通常総会で、設立以来長年当組合の発展に貢献してきた代表理事が交替し理事としての職務も退くこととなりました。  理事会では、その功績をたたえるとともに、組合の役員ではないにしても、組合が必要とする時は、何時でも助言等を求めることのできる地位に置きたいと考えております。  中小企業等協同組合法では「顧問」を置くことができることとなっていますが、前理事長を顧問に委嘱することは可能でしょうか。また、相談役・参与なども設けたいのですがいかがでしょうか。

    A11

    長年、組合の業務執行に携わっていた者が、組合の役員たる地位をはずれたからといって、その後、組合がその豊富な経験、知識等を活かした助言等を求めることができないということはありませんが、いつでも遠慮なく助言等を求めるためには、何らかの役職に委嘱しておくことも得策であると考えます。  中小企業等協同組合法第43条では、「組合は、理事会の決議により、学識経験のある者を顧問とし、常時組合の重要事項に関し助言を求めることができる。但し、顧問は、組合を代表することはできない。」

  • 一法人から複数の役員を選出することについて
    Q12

    Q1  理事のうち組合員たる一法人の役員から複数の理事を選任できるか? Q2  組合員たる一法人の役員から理事と監事を選任できるか? Q3  上記Q1,Q2が合法的な場合被選者1人を除き他は員外役員となるか否か? Q4  Q2の合法的な場合でも、 (1) 一法人でも一組合員であるので一組合員から理事と監事が出ることは役員の兼職禁止に抵触するとの意見 (2) 役員の就任は自然人(個人)として就任するので同一法人から出ても兼職とならないとの意見 なお、当組合の実際例については組合員たる一法人の代表取締役を理事に、他の平取締役を監事に選任する状況にある。

    A12

    A1  理事は、組合員たる一法人の役員から複数の理事を選任できる。 A2  組合員たる一法人の役員から理事と監事を選任できる。 A3  複数の組合役員を選任した場合複数の組合役員は員内である。 A4  (2)のとおりである。 すなわち、役員の就任は自然人として就任するので、同一法人から出ても兼職とはならない。

  • 理事会招集期間の短縮について
    Q13

    本組合の理事会の招集通知期間は、「会日の7日前」であるが、組合の実情によってこれを「会日の5日前」あるいは「会日の3日前」等に改めてよいか?

    A13

    理事会の招集通知については、中協法第42条において商法第259条ノ2が準用されているが、同条但し書によって期間の短縮が認められているので、組合の場合も短縮することは差支えない。なお、短縮する期間については、組合の地区の広狭等によっても異なるが、少なくとも通知を受取ってから議案について研究する位の余裕のあることが適当と思われる。また、書面議決を採用している場合は、郵便によって充分組合に到着する期間を加える必要がある。

  • 理事会に欠席した理事の責任について
    Q14

    現理事で、理事会に出席するつもりだったが、急に出張等の都合で出席出来ず、また書面議決書も提出しなかった場合、理事会の決定事項については賛成したものとみなされるか、或いは全然無関係とみなされるか?もし賛成したものとみなされるならば、反対の意思表示をしない限り出席しようが、欠席しようが同様であるとの解釈になるのではないか?

    A14

    理事会に欠席した者は、決定事項について賛成したものとはみなされず、したがって、その決定の段階までは責任はない。しかし、理事は、組合の業務について、総合監視の責任があり、理事会が開催されたこと、また当該決定がなされたことを知っていながら、決定から執行までの段階で、これを止むべき何らの措置をとらなかったときは、理事としての一般的任務懈怠の責任は免れ得ない。

  • 出席理事の一部が承認捺印しなかった理事会議事録の取扱いについて
    Q15

    理事会議事録は出席理事全員の承認がなければ議事録として通用しないものかどうか?不承認の理事からは承認捺印がなく議事録内容の調整修正が困難な場合の議事録の取扱いについてご見解をご教示賜りたい。

    A15

    理事会の議事録については、中小企業等協同組合法第42条で商法第 260条ノ4を準用しており、同条第2項によると「議事録ニハ議事ノ経過ノ要領及其ノ結果ヲ記載シ出席シタル理事之ニ署名スルコトヲ要ス」となっている。理事会の議事録については、ちゅ小企業等協同組合法第42条で商法第 260条ノ4を準用しており、同条第2項によると「議事録ニハ議事ノ経過ノ要領及其ノ結果ヲ記載シ出席シタル理事之ニ署名スルコトヲ要ス」となっている。このように理事会の議事録は、理事会議事の記録であって、出席理事の署名は、記録された内容が事実と相違ないことを証明するためのものであるから、出席理事の何人かが署名を拒否し、その署名捺印がないからといってその議事録が直ちに議事録としての意味を失うものではなく、当該議事録の内容が事実に反していない限り、理事会の議事の証拠となるものと解する。したがって、出席理事は議事録が事実に反しない限り署名を拒否すべきものではなく、もし理由なく署名を拒否した場合には当然のことながら法律に定められた忠実義務違反となる。なお、理由なく署名を拒否する理事がある場合は、不承認理事の署名のない議事録の作成をもって法律上の議事録作成義務は履行されたものと解する。

  • 議長の委任状行使について
    Q16

    事業協同組合の総会の議長は、委任状をうけられるか?

    A16

    中協法第52条第3項の規定により議長は議決権を有しない。したがって、委任状による議決権の行使はできない。

  • 総会における白紙委任状の取扱いについて
    Q17

    今年もまた、総会のシーズンがやってきましたが、総会における白紙委任状について、次の点をご教示下さい。Q1  白紙委任状は、総会に出席しない組合員が理事長又は総会の議長に議決権の行使を一任したものとして、数に制限なく、これを理事長又は議長の議決権行使の数に加えることができるか。 Q2  理事長又は議長の代理権行使の数が制限されるとすれば、理事長又は議長は、他の理事又は他の組合員に委任状行使を依頼することができるか。 Q3  白紙委任状は、そのままでは無効であり、必ず代理人の氏名が記入されていることが必要であるならば、いつまでに代理人を決め、有効なものにしておくべきか。 Q4  代理人の代理できる数以上に委任状がある場合は、どう処理すればよいか。

    A17

    白紙委任状と呼ばれるものは、組合が組合員に対して総会招集の通知とともに議決権代理行使の委任状用紙を送付し、その代理権の授与を勧誘するものであり、通常は、総会に出席しない組合員が議決権を行使すべき代理人を特定しないで白紙にして組合に送るものです。このように、白紙委任状は、委任状作成者(授任者)が受任者となる人を特定せずに、記載の一定事務の処理及びこれに要する代理権授与の申込みをし、これの取得者が白紙の部分に受任者として自己の名を記入することによって両者間に契約が成立し、受任者としての権利義務と代理権を取得するものです。 A1  白紙委任状は、総会の開催、議案の提出、議決権の確認その他総会に関して全般の責任をもつ理事長に代理人の選任を一任したものであって、理事長又は議長に議決権の行使を一任したものではないと解されますので、これを理事長がすべて行使することは許されません。理事長が組合員の代理権を行使できるのは、組合員である場合に限られますが、一般の組合員と同様に4人までに制限されます。なお、議長については、そもそも総会の議決に加わる権利を有しませんから、権利のない者に議決権の行使を委任することはありえないことですし、また、議長は総会において選任されますが、議決権数(総会の定足数)の確認の必要上、その選任前に代理人が指定されていなければなりませんので、議長が代理人の選定をすることはありえないものと解されます。A2  このように、白紙委任状は、中小企業等協同組合法第11条第2項後段及びこれに基づいて定款で規定した代理人となりうる者の範囲内において、理事長に代理権を行使すべき者の選定を一任したものと解されますから、理事長が組合員の中から受任者を選定し、その組合員に代理権の行使を委任することは問題ありません。ただし、他の理事に委任しようとする場合は、その理事が組合員であることを要します。A3  白紙委任状は、白紙の箇所が補完されて初めて委任状としての効力を発するものですから、総会において行使される際には、代理権を行使する者の氏名が記入されていなければなりません。この代理人の決定は、議決権行使の時(厳密に言えば、議決権数(総会の定足数)の確認時)までになされれば有効であると考えます。 A4  代理人の代理できる数を超える部分の委任状は無効となり、したがって、出席者数にも算入されないものと解されます。

  • 役員選挙についての疑義
    Q18

    役員改選期を控えていますが役員選挙方法について2つお尋ねします。Q1  理事と監事とは分けて選出すべきとのことですが、何故でしょうか。 Q2  模範定款例によれば「得票数が同じであるときは、くじで当選人を決める。」とありますが、重要な役員をくじで決めるとは不謹慎のように思えます。何故「くじ」としたのでしょうか。

    A18

    A1  役員の選挙方法として、例えば、得票数の多い順から理事を決めていき理事の員数を充たした段階で、次の得票数の者から監事としていく。このように理事と監事とを1つの選挙で選出することは、適当でありません。何故なら、理事は業務執行を、監事は会計等の監査を職務としており、役員であっても職務内容を異にするものです。これを一緒に選出しようとしても、組合員にとっては、極端にいえば意思表示(投票)のしようがないといえます。また、このことから得票数の多寡によって両者を区別すべき性格のものでないといえます。このようなことが一緒に選挙しない理由です。 A2  一般の「くじ」についてのイメージからすれば、不謹慎の感じをもたれるのも最もと思いますが、この場合は恣意の入る余地のない公平・公正な方法として採用されているものです。「くじ」以外の方法としては、例えばジャンケンによる方法も考えられますが、感情等の入る余地があります。また、投票・挙手等の多数決の方法も考えられますが、必ず多数派が当選することになります。なお、全役員を1つの選挙で選出すべき主旨は、役員構成が少数派排除による多数派代表に偏することの防止にあることに留意下さい。

  • 定款変更の効力発生時期について
    Q19

    中協法第51条第2項において「定款の変更は、行政庁の認可を受けなければその効力を生じない」と規定されているが、変更した場合、その効力の発生時期は、認可したときであるか、あるいは組合が変更決議をしたときに遡及するか?

    A19

    定款変更の効力は、行政庁が認可をしたときに発生し、組合が定款変更を議決したときに遡及しないものと解する。なお、効力発生時期をさらに厳密にいえば、定款変更の認可は、行政処分であるから、行政庁において決議を終った日又は認可書を作成した日にその効力が発生するのではなく、認可があったことを組合が知り得たとき、すなわち認可書が組合に到着したときから効力が発生することとなる。

  • 事務所移転の法的手続きについて
    Q20

    私どもの協同組合では、事務量の増加等に対処するために組合事務所(主たる事務所)を移転しようと考えています。立地環境、組合員の便宜等を勘案し、候補地を検討した結果、現在所在のA市に隣接するB市に移転する方針を固めました。今後、法律的にはどのような手続きをとらなければいけないか教えて下さい。

    A20

    組合が事務所を移す場合には、定款変更を要する時と要しない時の2つの場合があります。定款変更を要しない場合とは、定款で主たる事務所の所在地について、最小行政区画(例えば「○○市」)までを定めている場合でかつその区画の範囲内で事務所の移転を行おうとする場合です。(この場合は、理事会で具体的な所在地を決定し、その議事録を添付して変更登記を行うこととなります。)貴組合の場合は、「隣接するB市」に移転しようとするものですから、この最小行政区画を超えての移転になるものと思われますので、定款の「主たる事務所」の規定を変更する必要があります。この定款変更を行うためには、まず、総会での特別議決(半数以上の組合員が出席し、その3分の2以上の多数による議決)を経る必要があります(中小企業等協同組合法第51条第1項第1号、第53条第1号)。さらに、定款変更については、認可行政庁の認可がないとその効力は生じません(中小企業等協同組合法第51条第2項)ので、行政庁への認可申請が必要となります。定款変更が認可されると次に行わなければならないのが、事務所移転の変更登記です。具体的には、移転を行った日から2週間以内に旧所在地及び新所在地において、それぞれ移転の登記を行わなければなりません(中小企業等協同組合法第85条第1項)。なお登記申請に当たっての添付書類は旧所在地における登記申請のみ必要となっています。実施の手続きとしては、新所在地における登記の申請は旧所在地を管轄する登記所を経由し、旧所在地における登記の申請を同時にすることとなります。(中小企業等協同組合法第103条)。

解散・その他

  • 解散に伴う残余財産の分配について
    Q1

    ある協同組合が解散し、現在清算中であるが、土地の値上り等で、残余財産が約2億円ある。この分配について清算人間に意見の対立が生じ、定款の持分の規定(正味財産を出資口数に応じて算定する旨の規定)が解散の際の分配についても解釈上適用されるものと判断している。  ところが、これに対して小口出資組合員から残余財産の分配については法律にも定款にも何ら直接の規定がないので、具体的な分配方法は総会で決定すべきだ、そして、それには出資口数に関係なく人数割りで分配すべきだとの主張があり訴訟にすらなりかねない事態となっている。  そこで、 Q1  残余財産がある場合にその分配については、定款の持分の規定が解釈上適用されるものかどうか? Q2  また、企業組合、協業組合、商工組合の解散の場合にはどうなるのか?

    A1

    A1  解散に伴う残余財産の分配方法については、中小企業等協同組合法上明文の規定はないが、残余財産の分配は、持分の払戻し的性格を有するので、定款で定める計算方法によって算定された持分に応じて行うべきである。 A2  企業組合、協業組合、出資商工組合についても同様である。

  • 清算中の組合における組合員の持分の譲渡、加入・脱退について
    Q2

    清算中の組合においても、解散前の組合同様に、組合員の持分の譲渡や加入・脱退といったことが認められるのでしょうか。

    A2

    組合が解散したときは、組合は清算の目的の範囲内において存続することとなりますが、清算が組合と組合員との財産関係の処理を中心とする以上、組合員の持分の譲渡や新規加入は認められないと解されます。  また、脱退による持分の払戻は、組合の一部清算ともいうべきものですから、同様の理由により、自由脱退はもとより、法定脱退の規定も原則として清算中の組合には適用されないと解されます。ただし、組合員の死亡又は解散の場合には、相続人又は清算中の法人が組合員として取り扱われることになります。

  • 解散決議の取消について
    Q3

    総会において解散を決議した組合が、解散後2週間以内に臨時総会を招集し、さきの解散決議の取消をし、組合の継続を図った。中協法の解散及び清算について商法第95条、第162条及び第406条並びに民法等の準用がないので解散を取消すことはできないものと解するがどうか?

    A3

    中協法は、解散及び清算について商法第95条、第162条又は第406条を準用していないので総会において解散を決議した組合が、その後に解散の決議を取消し、組合を継続することはできないものと解する。

  • 組合の株式取得の是非について
    Q4

    事業協同組合は組合員たる株式会社の株式を取得することができるか?

    A4

    組合が組合事業の遂行に益する関連機関の株式を所有すること及び余裕金を管理する一方法として安全有利な株式を所有することは可能である。  ただし、利殖事業として株式を所有することは、組合の事業目的を逸脱することになる。

  • 組合員が1人となった組合の存続について
    Q5

    中小企業等協同組合の組合員が1人となった場合は、中協法第62条に規定する解散事由には該当しないが、同法の目的(第1条)及びその目的達成のための組織並びに運営に関する諸規定の趣旨から当然に解散になるものと解するがどうか?

    A5

    中小企業等協同組合は、組合員数がいわゆる法定数を下回ることになっても、当然には解散しない。  なぜならば発起人の数(中協法第24条)、役員の定数の最低限度(同第35条)、持口数の最高限度(同第10条第3項本文)の面からみれば、組合員数は一見4人(連合会にあっては2組合)以上なければならないようであるが、これは組合の存続要件ではなく、設立要件であって、欠員の場合も十分に予想しているからである。  問題となるのは設例の場合のように組合員数が1人となった場合であるが、現行法上においては、この場合にも組合は解散しないものと解する他はない。因に商法第94条第4号で「社員ガ1人ト為リタルコト」を法定解散事由と定めているが、中協法においては、これを準用していないからである。  しかしながら、組合員が1人となった場合は組合は人的結合性は完全に失なわれ、法の目的に反する結果となるので立法論としてはこれを法定解散事由に加えるようにすることも考えるが、現行法上は中協法第106条によって措置すべきであろう。